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プリオン病のサーベイランスと感染予防に関する調査研究班

ごあいさつ

 プリオン病のサーベイランスと感染予防に関する調査研究班は、2010(平成22)年度から発足した比較的新しい厚生労働省の研究班です。その業務は、文字通り我が国のプリオン病のサーベイランス(監視)を行い、医療行為を通じての感染も含めプリオン病の感染予防に努め、そのために必要な調査と研究を行うことです。これらの業務、とくにサーベイランス事業は、1999年以来、遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班(2002年からはプリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班)の中にサーベイランス委員会を組織して行われ発展してきましたが、サーベイランス研究の性格、サーベイランス等のデータの安全かつ効率的管理の必要性などを考慮し、厚生労働省の指定研究として行うこととなったものです。また、感染予防上の対応が必要となる事例(インシデント)については、それまで厚生労働省が個別に対応してきましたが、2009年度、プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班内にインシデント委員会を立ち上げ、インシデントを含めプリオン病の感染予防に関わる調査、研究、対策などを担うことといたしました。2010年度の本研究班の立ち上げに伴い、サーベイランス委員会とともにインシデント委員会も新しい班に移行いたしました。

 サーベイランス事業は、サーベイランス委員会と全国都道府県にて厚生労働省からの委嘱を受けたプリオン病担当専門医、また国と地方自治体の行政担当者の緊密な協力の下に、全例実地調査を原則に行われており着実に発展しています。サーベイランス委員会は、全国を10地区に区分した各地区の地区委員と疫学データ管理担当、病理検査担当、遺伝子検査担当、髄液検査担当、画像検査担当、電気生理検査担当、脳外科担当、倫理・遺伝担当の各専門委員から構成され、様々なルートで得られた症例情報をもとに実地調査を行い、年に2回サーベイランス委員会を開催して、1例ずつ全例について検討し、プリオン病かどうか、プリオン病の場合どの病型か、診断の精度はどれくらいかなどの判定を行っています。現在、本事業は順調に発展していますがいくつかの課題もあり、診断精度や迅速性の向上、全例調査を目指して様々な努力を続けています。診断精度で最も確実なのは解剖検査によるものですが、諸外国と比べわが国ではこの解剖検査が極めて少なく大きな課題です。

 関連して、プリオン病の治験等の臨床研究のサポートを念頭にオールジャパンの研究組織JACOP (Japanese Consortium of Prion Disease)が設立され、全数登録と自然歴研究が開始されており、全面的に協力しています。多くの皆さんのご協力で周知徹底を計り、多くの研究者とご施設には登録していただきましたが、肝心の患者さんの登録がなかなか進んでおりません。このような状況の中で、2017年4月からは、サーベイランス調査時に自然歴調査の登録も行うことで重複の無駄を省き、診断精度と迅速性の向上、全数調査をめざすこととなりました。

 インシデント委員会の業務は前述のとおりですが、とくに重要な事業として、脳外科手術が行われた後に、プリオン病の罹患が明らかになり、プリオン病対応の感染予防対策がとられるまでの間に、同一手術器具にて手術を受け、プリオン病に感染するリスクを保有している可能性がある方々への説明やフォローを支援しています。これまで、10事例以上が確認されており、現在その追跡調査が行われていますが、幸い二次的な発生は確認されていません。

 以上、本研究班では、最終目標であるプリオン病の克服に向けて、プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班・JACOP等関連する研究組織とも協力しながら、プリオン病のサーベイランスと疫学研究、感染予防対策などに関わる様々な調査と研究を進めております。関係各位のより一層のご協力とご支援をお願い申し上げる次第です。

2017年4月吉日

厚生労働行政推進調査事業費補助金(難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患研究事業))
プリオン病のサーベイランスと感染予防に関する調査研究 研究代表者
水澤英洋

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