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研究成果

体内埋め込み型微量注入器具を用いたペントサンポリサルフェート脳室内持続投与療法に関する検討

福岡大学 神経内科:山田達夫、坪井義夫

頭部X線。脳室内カテーテルの留置 腹部X線:腹部皮下体内埋め込み型微量注入器具の留置
体内埋め込み型微量注入器具(Archimedes®) 脳室内カテーテルの留置手術後の頭部CT

クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)に代表されるプリオン病は治療法が確立されていない致死性の神経難病である。ペントサンポリサルフェート(PPS)はマウスを用いたプリオン蛋白感染実験において、脳室内投与により発症遅延効果が確認された。治療に応用する場合、PPSは血液脳関門を通過せず、脳室内に直接投与する必要がある。本研究では、体内埋め込み型微量注入器具を用いたPPS脳室内投与療法のプロトコールを確立し、同治療の安全性と患者の生命予後改善への効果を検討した。この治療は、微量注入器具の埋め込み及び脳室内カテーテルの留置手術を行い、頭部CTで出血がないことを確認する。出血等の合併症がなければ術後8日目よりPPS投与を低濃度で開始する。その後、漸増し維持量に到達させる。維持濃度は120μg/kg/dayとして、4週間毎に腹部皮下の微量注入器具中の薬液を新しい薬液に交換充填する。これまでに10例のプリオン病患者に対して施行された。PPS脳室内持続投与法は脳血液関門を通過しない薬剤の中枢内への投与法として、安全であることが確認された。まだプリオン病に対する臨床効果は今後の長期経過のフォローにより評価が必要である。

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