ホーム > 研究報告 > 原 由紀子

研究成果

研究報告

杏林大学医学部病理学教室:原 由紀子

進行性多巣性白質脳症はJCウイルス(JCV)感染による脱髄疾患である。ウイルス外郭を担うカプシド蛋白は感染細胞のドット状の核内構造、即ちPML核体に集積し、これを足場に粒子形成して、oligodendroglia核内にウイルス封入体を形成する。PML核体は細胞周期に伴いその形態を変化させ、G0期ではその構造は最も小さく、S期で最大となり、M期には消失し、細胞分裂後再び出現する。
進行性多巣性白質脳症のヒト脳組織において、多くのJCV感染細胞がS期の指標であるPCNAに強陽性で、PCNAとPML蛋白が核膜内側でドット状に集積する像がしばしば認められた。またin situ hybridizationではJCV DNAが核内のドット状のシグナルとして認められ、電子顕微鏡でもウイルスが核膜内側にクラスターを形成して分布する像が得られた。これよりJCV感染細胞はS期様の細胞環境を提供し、核膜内側に配列したPML核体で、JCVゲノムDNAの複製と粒子形成が連動して行われている事が推測された。

このページの先頭へ