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研究成果

伝達性海綿状脳症におけるシナプス関連蛋白質の解析

九州大学大学院医学研究院神経病理学:岩城 徹

異常プリオン蛋白増加 NZWマウスに福岡1株を脳内接種したモデルマウスにおける検討。ウェスタンブロットで蛋白発現量を解析した。SNAP-25とsynaptobrevinの発現が早期から低下していた。  SNAP-25とsyntaxinはシナプス終末の細胞膜に存在するt-SNARE、synaptobrevinはシナプス小胞に存在するv-SNAREとして開口分泌に関与する。Synaptophysinはシナプス終末の膜陥入、シナプス小胞の再形成に関わると考えられている。

モデルマウスを用いてシナプス関連蛋白発現の経時的変化を検討した。シナプス関連蛋白の発現低下が神経伝達機能の障害に関与している可能性があり、特にシナプス開口分泌に関与するSNAP-25とsynaptobrevinの発現がより早期から低下していた。また、軸索輸送の障害を示唆する所見が得られ、シナプス関連蛋白の分布異常を来してより広範囲な機能異常を呈しうると考えられた。
伝達性海綿状脳症における機能局在の異なるシナプス関連蛋白の発現変化の違いが明らかとなり、早期から神経伝達機能の障害を来す可能性が示された。

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