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研究成果

ノックインマウスによるプリオン伝達性の比較解析

毛利資郎


図. プリオン病と伝達されたノックインマウスのウエスタンブロット

われわれの作製した、ヒト型プリオンタンパク質遺伝子導入ノックインマウス(KiHu-129M、KiHu129V)およびトランスジェニックマスにより、野生型マウスに伝達できかったクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の伝達性を次々と証明してきた。具体的には、孤発例CJDのMM1型、VV2型、硬膜移植後CJD、変異型CJD(vCJD)等である。その結果、プリオンの伝達性は、非接種マウスの正常プリオン蛋白質とプリオンのタンパク質1次構造の違いによる種の壁といわれているが、それだけでは説明出来ない例のあることも判明した。例えば、食肉を介して牛からヒトに伝達されたvCJDは1次構造の同じヒト型ノックインマウスには伝達しないが、ウシ型ノックインマウス(KiBo)にはBSEと同じように効率よく伝達された。vCJD,BSEともに発病したマウスは病理組織学的に類似した病変を示し、ウェスタンブロットの糖鎖パターンも一致していた(図)。モデルマウスに伝達後も起源のプリオン性状が残存するこの現象は、今後、プリオン病の感染ルーツを探るためのツールになると考えられる。

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