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研究成果

体内埋め込み型微量注入器具を用いたペントサンポリサルフェート脳室内持続投与療法に関する検討

福岡大学医学部神経内科学:坪井義夫



プリオン病は、発病後、進行性、致死性の経過をたどる。残念ながら有効とされる治療薬は発見されていない。これまでに実験的にプリオン病に効く可能性のある、薬剤の検討が行われ、その中でペントサンポリサルフェート(PPS)の脳室内持続投与は、動物モデルで著しい発病の遅延効果を認め、注目される薬剤である。2003年に英国で、はじめてプリオン病に対して臨床応用が行われ、本邦でも2004年11月~2007年3月までに11例に対して同治療が行われた。治療開始からの経過は9~31ヶ月で、症状が明らかに改善した例はない。しかし治療開始後2年以上の長期生存例もあり、延命効果に関しては今後の経過の検討が必要と思われる。副作用は硬膜下水腫が生じることが多く、痙攣が1例に認められた。血液データの異常は認められなかった。PPS脳室内持続投与は、比較的安全で長期治療にも耐えうる治療法であると考えられる。


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