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研究成果

進行性多巣性白質脳症(PML)の病理所見
境界不明瞭な脱髄斑と、淡明な腫大核を示すグリア細胞

杏林大学医学部病理学教室:宍戸-原 由紀子



進行性多巣性白質脳症(PML)は、進行性の白質病変を来す疾患として頻繁に鑑別にあがり、本研究斑では「剖検または生検で脳に特徴的病理所見を証明すること」をdefinite PMLの診断基準としている(2004)。従来、脱髄巣辺縁では、腫大したグリア細胞の核内全体に広がる両染性の封入体(full inclusion)が認められることがよく知られていた。しかし、近年JCウイルスがPML核体を呼ばれるドット状の構造で複製することが明らかになり、full inclusion形成前には、JCV感染グリア細胞は淡明な腫大核を示すことが分かった。こうした感染初期のグリア細胞は、境界が不明瞭な脱髄斑を示す症例においてよく認められる。

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