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プリオン病/亜急性硬化性全脳炎(SSPE)/進行性多巣性白質脳症(PML)とは

プリオン病患者家族の方々、プリオン病のリスクの不安のある方々へのカウンセリング

研究協力者:田村智英子(お茶の水女子大学 大学院人間文化創成科学研究科特設遺伝カウンセリングコース)

1. カウンセリングの意義

人間は、大きな苦難に直面すると衝撃を受け、怒りや悲嘆、苦悩など様々な気持ちを抱きます。しかし多くの人々は、やがて事実を自分なりに消化して状況を受け止めていくことができます。心理カウンセリングでは、人々がもともと持っているそうした能力を促進して、人々が気持ちを整理し自分と向き合い自分なりの答えを見出していく過程を援助します。心理カウンセリングでは助言したり来談者の問題を解決してさしあげたりはしません。人は、苦しみや心の痛みとしっかり向き合うことにより真に癒されるものです。「人々が苦しみや心痛と向き合うこと」や「苦悩や悲嘆を消し去るのではなくそうした感情を持っている自分を自然に受け止めることができるようになること」がカウンセリングの目指す方向性です。
心理カウンセリングでは、時間と場所を限定しプライバシーが保証された環境を用意することで、安心して自由に考えたり自分と向き合ったりできる機会を提供します。カウンセラーは、ひたすら来談者の話に耳を傾けその方の気持ちを理解しようと努力します。来談者は、真剣に話を聞いてもらい肯定的に受け止めてもらうことで、自分自身を肯定する気持ちを得ることができるようになります。また、自分の考えや気持ちを声に出して言うことで、気持ちと距離を置いて自身を外から眺めることができ、気持ちを整理するきっかけになります。苦しんでいる人全てがカウンセリングを受けねばならないということではありませんが、自分自身で気持ちを整理する能力のある人であっても、カウンセリングの機会を利用して自身の能力を高めることが可能です。

2 プリオン病患者家族の方々、プリオン病の心配をしている方々へのメッセージ

ご家族がプリオン病かもしれないと言われて不安を抱いている方、自分が将来プリオン病にかかるかもしれないと言われて心配している方、ご家族の病気がプリオン病と診断されて大きな衝撃を受けた家族の方、これからどうしたらよいか頭を抱えている方、医療スタッフや他の家族との間でもめごとが起きて心を痛めている方、患者さんが亡くなった後の心のケアを求めている方など、多くの方々に、ぜひカウンセリングを利用していただきたいと思います。プリオン病という大きな事実に直面して悩み苦しむことは自然なことです。多くの人はやがて時間が経つにつれて気持ちを整理していくことができますが、その過程は楽なものではありません。そんな時一人で頑張らなくても、ちょっと誰かの助けを借りてみてはいかがでしょうか? カウンセリングを受けるのは精神的に弱いことと思われがちですが、カウンセリングを利用する人はむしろ、自分と向き合って気持ちの整理をしていこうと思っている強い人です。また、カウンセリングを受けたからといって、心痛や苦悩が一瞬にして吹き飛ぶものではありませんが、人に話をするだけで少し落ち着くことはよくあることです。
心に余裕がないときには、普段は聞き流せるかもしれない他人の言動に怒りを覚えたり、自分の感情のコントロールがうまくできなくなったりして、自分自身も周囲の人々も、よりいっそう苦しくなる状況を引き起こすことがあります。そんな時ちょっと一休みして、自分の気持ちを見つめなおす機会をもってみませんか?カウンセラーは話を聴くプロであり、カウンセラーから助言したり意見を押し付けたりはしません。安心して自分の話を聴いてもらえる場としてご利用ください。

3 カウンセリングを希望する方へ

① 心理カウンセリング

心理カウンセリングは一般的に、精神科医、心療内科医、臨床心理士、その他の心理専門職、メディカル・ソーシャル・ワーカー(MSW)などによって実施されていることが多いので、身近にこれらの人々がいれば相談してみるとよいと思います。また、希望される方には田村智英子も対応いたします。料金は無料、日程の調整がつく限り全国どこでもまいります。なお、原則としてカウンセリングは面談にて行い、電話やメールでは簡単なご連絡のみとさせていただきます。田村との面談を希望される方は、田村智英子(木場公園クリニック:03-5245-4122 FAX:03-5245-4125 電子メール:c_tamura@t3.rim.or.jp )までご連絡ください。(医療者の方からご連絡いただいてもかまいません。)

② 遺伝カウンセリング

プリオン病の約10%は遺伝性です(残りの90%は遺伝ではありません)。プリオン病の遺伝に関するご相談や、遺伝性でなくてもプリオン病の遺伝子検査について質問や心配のある方のご相談にも、ご希望があれば田村が対応させていただくことが可能ですので、上記①の田村智英子の連絡先へご連絡ください。

4 ヤコブ病サポートネットワークのご案内

ヤコブ病サポートネットワーク(代表:上田宗)は、プリオン病の当事者・支援者の集まりです。電話や電子メール、ホームページ上の掲示板などを通じて皆様方の相談に対応しています。詳しい情報は、ホームページhttp://www.cjd-net.jp/をご覧ください。

5 カウンセリングをなさる専門職の皆様へ

臨床心理士などの心理専門職、MSW、精神科や心療内科の医師の皆様、ぜひ、お近くのプリオン病患者の家族の方々やプリオン病発症リスクの不安をもつ方々の心理支援にご協力ください。カウンセラーとして知っておくべきプリオン病に関する基本的な情報や患者様からの感染の心配に対する知識は、この研究班の本ホームページのほか、難病情報センターのホームページ( http://www.nanbyou.or.jp/ )からも得ることができます。難病情報センターのホームページには、「プリオン病」としてクロイツフェルト・ヤコブ病など3疾患の情報が掲載されています。なお、カウンセリングの来談者は、医学的な情報については医療者から十分に説明されていてよくご存知のことが多いと思います。
カウンセリングを希望する方は、精神病理的な問題のないご家族の方々や未発症者が中心で、通常の心理カウンセリング理論に基づくカウンセリング技術で十分対応可能です。また、患者との死別後のグリーフ過程の支援があることが望ましいことはもちろんですが、患者が存命中であっても、重篤で治療法のないプリオン病の疑いや診断がついたことを知らされた家族の心理状態には、Kubler-Ross, Eの提唱した5段階モデルやWorden, JWが述べた4つの課題の考え方がよくあてはまります(Worden JW: Grief counseling and grief therapy: A handbook for the mental health professional (3rd ed.). Springer Publishing Company, NY, USA, 2002参照)。したがって、これらの方々に対する心理支援には、グリーフ・カウンセリングの理論と技術の応用が可能です。また、プリオン病の進行はしばしば非常に早く、家族の心理的適応が疾患状況に追いつかないことが多いことにご留意ください。
なお、プリオン病は希少疾患ですので、プリオン病に特有な心理支援上の経験を集約して、心理援助職間で共有していくことが求められています。プリオン病関連の事例のカウンセリングに際して、来談者の個人的な情報を公開していただく必要はありませんが、一般的に利用可能なノウハウなどを田村(c_tamura@t3.rim.or.jp)までご一報いただければ幸いです。

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