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プリオン病/亜急性硬化性全脳炎(SSPE)/進行性多巣性白質脳症(PML)とは

プリオン病のMRI画像診断の注意点

Creutzfeldt-Jakob (CJD)病などのプリオン病では、MRI拡散強調画像(diffusion-weighed image: DWI)やFLAIR画像(fluid-attenuated inversion recovery)などにおいて、大脳皮質、線条体、視床に異常信号をしばしば認め、診断の有力な根拠となることが知られています。一方で、これらの所見は軽微なため、MRIの撮像法や表示法が不適切な場合、病変の見逃しや誤認に繋がる危険があることが指摘されています。以下に述べる撮像法・表示法の注意点を参考にして質の高い画像を取得し、慎重な判定を行うことが望ましいと考えられます。

拡散強調画像の注意点

拡散強調画像の画質は磁場強度に依存しますので、原則として1.5 Tesla以上の装置を用いることをお勧めします。撮像条件は、一般的に用いられるb値1000 s/mm2, 5mm厚程度の水平断像で十分です。

拡散強調画像は、それ自体に安定した信号を呈する構造がないため、どのようなコントラストにでも表示することができます。そのため、淡い病変を見落としたり、正常でも軽度高信号を呈する島皮質や内側前頭葉皮質を病変と誤認したりする危険があります(図1)。

最近、日本磁気共鳴医学会および厚労省研究班ASIST-Japanによって拡散強調画像表示法の標準化手法が提案されており[1,2]、プリオン病においても本手法が有効であることが示されています。本手法は、拡散強調画像と同時に取得されるb0画像(EPI T2強調画像)上の正常脳実質(視床など)の信号強度を計測し、その値をウインドウ幅、その1/2をウインドウレベルとする単純なもので、全てのMRI装置や読影端末上で、簡単に行うことができます(図1)。本手法で表示条件を最適化した画像を用いてプリオン病の画像診断を行うことをお勧めします。


図 プリオン病における拡散強調画像表示条件の標準化
標準化前は、画像のコントラストが一定せず(上段)、正常灰白質が病変類似の所見を呈したり(矢印)、淡い病変が不明瞭となる危険がある(矢頭)。b0画像を用いてウインドウ幅・レベルを標準化すると、画像のコントラストが一定し、判定が容易となる(下段)。

FLAIR画像の注意点

FLAIR画像は、撮像パラメータの設定によっては病変の視認性が低下する危険があります[3]。1.5T装置では繰返時間(TR)を10,000ms, 反転時間(TI)を2,300ms程度とするのが望ましいと考えられています[4]。


参考文献

  1. Sasaki M, Ida M, Yamada K, et al: Standardizing display conditions of diffusion-weighted images by using concurrent b0 images: a multivendor multi-institutional study. Magn Reson Med Sci 2007 ; 6:133-137
  2. ASIST-Japan: 急性期脳梗塞画像診断実践ガイドライン2007.南江堂、東京
  3. 佐々木真理: 神経系のMRI撮像法。日磁医誌 1999; 19:503-519
  4. 日本脳ドック学会: 脳ドックのガイドライン2008[改訂・第3版].響文社、札幌

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